Dental Column

歯科コラム

「虫歯菌の感染時期と虫歯の重篤度の関係」


虫歯の菌で有名な、ミュータンス菌。生まれたての赤ちゃんのお口の中には細菌はいません! お母さんやお父さん、まわりでお世話する人たちのお口から、子供へと感染していくのです。

赤ちゃんの歯が生え始める5〜6ヶ月の頃から、虫歯菌は定着出来る土壌ができあがります。

ここでとあるデータをみてみましょう。
・生後1歳半までに虫歯菌に感染した子供は、かなり重度の虫歯になる可能性がある
・生後1歳半〜2歳半までに虫歯菌に感染した子供は、カリエス発症のリスクが上昇する

つまり、出来るだけ、虫歯菌に感染する時期が遅い程、カリエスのリスクを減らす事が出来るのです。
2歳や3歳になっても母乳育児を続けていて、寝かせる時にくわえさせたまま歯磨きをしない子供さん、哺乳瓶で甘い飲み物を飲ませている子供さん・・ 虫歯菌が居なければ、虫歯にはなりませんが、離乳食を口移してあげていたり、生活の色々なシーンのなかで、気づかないうちに虫歯菌は子供に感染していくのです。

ですので、
・できるだけ、同じ食器を使わないようにする
・口移しでごはんを与えないようにする
・お母さんやお父さん、まわりでお世話をする大人が持っている虫歯菌の数を減らすようにする(虫歯がある場合は,放置せずに治療を済ませておくことや、キシリトールガムなどで積極的に虫歯菌を減らす環境を作る、など)

など、努力して頂ければと思います。

いつの日か、子供に虫歯菌も感染していくのですが、大切なのは、「感染の時期」です。
頭の隅に、このデータのことを置いておいて頂ければと思います。

「フッ素のおはなし」

家庭用のフッ素歯磨き粉など、いろいろな製品が市販されています。
ここでは、家庭用のフッ素についてのお話をさせていただければと思います。

家庭用のフッ素は、濃度にして100〜950ppmほどのものがほとんどです。
一方、歯科医院で使用するフッ素は濃度にして9000ppmの濃度になり、家庭用のものの約10倍ほどの濃度となります。(※フッ化ナトリウムでの濃度のお話になるので、フッ化第一スズをお使いの方は、濃度表記が異なる場合があります)

当院では、月齢によってざっくりと適正濃度を決めています。

0・1・2歳 100ppm 
→ ピジョンのフッ素(¥450ほど)やレノビーゴ(¥1350)など。歯が生え始めたら使用が可能です。
始めはガーゼに塗布して指で塗り込んであげるところからスタートして、1歳を過ぎたら歯ブラシの毛先に付けて塗り込んでください。歯ブラシの毛の感触に少しずつ慣れさせてあげるのが大切です。2歳をすぎるとなかなか歯磨きを嫌がって、お口を触らせてくれない子供も増えてきますが、ここは根気よく続けましょう!

3・4・5歳 500ppm 
→ check up gelのバナナ味など。 歯科医院専用のフッ素ジェルです。(¥850)
市販のもので500ppm前後の製品を探すのはなかなか難しいです。濃度表記がされておらず、フッ素含有としか書いていない場合も多々ありますのでご注意下さい。
3歳を過ぎると、社会性も出てきはじめ、食べるものも多様化します。虫歯になるリスクも上がってきますし、乳歯列も完成します。一日3回の歯磨きを徹底させてあげること、毎回フッ素を使用する事、がとても大切になってきます。この時期に虫歯を作らない事が、永久歯でも虫歯を作らない事に繋がってくるのです。

6歳〜 950ppm 
→ check up gel のぶどう味など。 歯科医院専用のフッ素ジェルです(¥850)
6歳を過ぎると、永久歯に少しずつ生え変わってきます。大人の歯は一生使う歯になりますので、家庭用のものの一番濃度の高いフッ素を使用するようにしましょう。12歳くらいまで混合歯列期といって、大人の歯と子供の歯がお口の中に混在する時期は、虫歯になるリスクがぐっと上がります。仕上げ磨きは夜だけでも続けるようにしてください。
小学生になったら1人で磨けるから・・とほったらかしになる事も多いのですが、私はあえて、仕上げ磨きを続けてもらえたらと言いたいと思います。


虫歯を作らないようにする為には、フッ素だけの力ではどうしてもカバー出来ません。
どんな食事をとって、子供のまわりの大人から虫歯を作らず、また虫歯菌の数を増やさずにいられる環境を作る事などもとても大切になってきます。

みんなでがんばりましょう!

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